和モダン シンプルでスタイリッシュな店舗です
2013.12.12木曜日、元デュヌラルテシェフ杉窪章匡(すぎくぼあきまさ)氏
自らがオーナーを務めるパン店がついにオープンしました。
当初12月1日だった開店予定日が大幅にずれたのはオーナー杉窪氏が自店に出す
商品を突き詰めるために時間を要したためです。
したがって、先月末のレセプションパーティで試食させていただいた
ぱんたちはまだ名前も形も決まっていませんでした。
国内産の食材にとことんこだわり、選び抜いた地方の生産者を応援しよう。
その生産者に感謝の気持ちをこめてつくられ、お目見えしたその姿はほんのりと
美しく和の香りただようやさしい味わいのするものでした。
取材日 2013年12月 レポーター 尾見 典子
うちのパンを食べて健康になって欲しいとおもう。
杉窪氏は1972年石川県に生まれました。輪島塗の職人であった両祖父の影響が
あったのかもしれません。自らもパティシエとしての道を進み、日本各地、更には
フランス・パリにも滞在しシェフとして腕を磨きました。パリでの修行時代は
様々なパン店を見て歩き、刺激や知識を得て自分なりの解釈を作り上げました。
(杉窪氏)
人は沢山の知識の中から少しの引き出ししか使っていません。
もしかしたら一生使わないものもあるでしょう。修業時代に得たもの、それは振り
幅を広く持つことです。例えばパリのパン屋さんは男性的なお店もあれば女性的なお店もあります。その女性的な部分をお店のコンセプトに打ち出したのが向ヶ丘遊園のセテュヌボンニデーです。
(2013.12.11開店)
https://www.facebook.com/CestUneBonneI...
「作業性」
杉窪氏はこの言葉におおいに疑問を投げかけていました。
発酵を多くとりパンチをいれて生地を強くすれば失敗する事はすくない。
でも人に教わった事だけをやっていれば楽ではあるが職人としての技術は
成長しない、レシピなんていらない、ワンパターンになりがちですよ。
職人として浅い。もっと頭を使わなきゃ。
厨房にいるときもそう、自分はどう動くべきなのか?
また、後輩が先輩に気を使い思いやる。相手の立場に立ってどれくらい考え
られるかです。それが出来るようにならなきゃ良いパンは作れません。
なぜならそういった心がけがお客様への心遣いにつながるからです。
必然的にお客様のために技術を磨く事になるわけです。
パンの作り手としてお客様の立場を考えることは重要な事です。
僕はうちで働いているスタッフにそういう感覚が身に付くよう指導して
います。僕のところで働けば間違いなく一流のパン職人になりますよ(笑)
杉窪氏はパン店を展開していくにあたりあらゆる項目についてとことん
追求し続けました。それはこれからも終わることはないのではないでしょうか。
代々木八幡「365日」、名古屋「テーラテール」、福岡「ブルージャム」、向ケ丘
遊園「セテュヌボンニデー」、杉窪氏が手がけるプロジェクトの統一コンセプトは
“ 無添加で国産のものを使う。地産地消 ”
自然農法のおいしい野菜や果物、小麦粉も一部石臼をつかい自家製粉、ドライ
フルーツも極力オーガニックにこだわります。
ホストハーベストの問題もあります。お客様に安心して召し上がっていただいて
美味しい!と言ってもらえる事が一番の喜びだ、と杉窪氏は語っていました。
「杉窪ムーブメント」のスペシャリテが集結
各店舗の「顔」と並ぶ365日オリジナルオーガニックコーヒー
・名古屋「テーラテール」 イチジクのケーキ。
・向ケ丘遊園「セテュヌ ボンニデー」 焼き菓子の詰め合わせ。
パティシエ出身である杉窪氏のレシピによる自信作です。
突き詰めるとこんなにも繊細で上品な味わいになるのでしょうか。
もしかしたらパンより人気が出るかもしれません。
・福岡「ブルージャム」 自家製コンフィチュールを販売。
ギャラリー
食のトータルセレクトショップとしての機能もあわせもつ。
杉窪氏は、商品としてのパン作りの他、長きにわたり収集した情報に基づき
こだわりの器から書籍に至るまで、食をとりまく様々なアイテムを
置いて販売しています。
お伝えしたい、食べてほしい、がいっぱい!
対面式でお客様のお好みを聞きながらゆっくりとパン選び。
「いらっしゃいませ」「あ、こちらはほわっとした生地にクランベリーが
入っているんですよ…」
「もちもちっとした生地の中に◯◯と△△が…とってもおいしいです。」
「◯◯な…おやつぱんです〜」・・・
お客様にパンの説明をするときの表現もさっとイメージ出来るよう
わかりやすい言葉をえらび伝えています。
元々お客様とのコミュニケーションがお好きなのでしょう。
スタッフのみなさまの積極的なお声かけは楽しい店内のB.G.M.にもなってます。
素敵な笑顔が印象的でした。
淡やか、という表現があるかどうかは知らない。しかし店内に並べられている
パンを眺めていると自然にそんな言葉が脳裏にうかぶ。
「ここのキーワードは『和』なんですよ。」(ショップ店長の渡邉さん)
確かに商品名が◯◯パンと付くものは全てひらがな。オープン直前杉窪氏の
「よし、『パン』は『ぱん』でいこう!」のひとことで決まったそう。
落ち着いた明朝体で書かれたプライスカードがぱんにそっと寄り添い
大人の雰囲気を演出、おだやかな文体で商品を説明しています。
それではうまれたてほやほやの「ぱん」たちをご紹介します。
スペシャリテ 365日×ブリオッシュ
バター25% 生クリーム40%
口溶けの良い都会的なブリオッシュ。
なにも付けなくてもコクがあり美味しくいただけます。
365日食べて欲しい、という杉窪氏の強い思い入れを感じる逸品です。
スペシャリテ ジャンボンフロマージュ
クロワッサン生地に自家製ハムとベシャルメソース、チーズを挟んで焼き上げた
ワインのお供にもぴったりな惣菜パンです。
ジャンボン=豚のもも肉(ハムをさす事もあります)
フロマージュ=チーズです。
作業に最適な室温に保たれたパイルームで生地の折り込み作業をします。
フランスから取り寄せたパイローラーの機能もさることながら、機械自体も
冷えているので生地をローラーに通してもその摩擦熱でバターが溶ける事が無く
イメージした厚さになるまでバターと生地が混ざり合う事なく延ばす事が出来ます。
釜に入れたときに初めてバターが溶けていく。
そういうきれいな層の生地をつくることが、おいしいクロワッサンには
欠かせません。
杉窪氏が手がける各店舗全てに同じ設備が設置されています。
生地の特徴が商品名 ソンプルサン
北海道産小麦とグレープシードオイルのパンです。
「ソンプルサン(cent pour cent)」はフランス語で100%の意です。
吸水100%の生地であることから名付けられています。
さぞ扱いにくいのでは?(パン・ド・ロデブが80〜90%)とおもい伺ったら
そんなに扱いにくくないですよ、とのお返事。
同じ生地に白ごまをびっしりとまぶした「白ごまサン」(写真右下)も
おすすめです。
おすすめ 小豆の効いた粒あんぱん
北海道産あずきのつぶがはっきりと感じられます。
ねっとりあんこの白あんぱん(こしあん)もあります。
両方取り置きをお願いしてからお店に伺いましょう。
中身だけではありません。食べ比べるとちがうんです。何かが!
そしてハード系に食ぱん
オープン日の午後2時すぎにお邪魔したときはすでに食パンやあんぱん類、それに
クロワッサンもすでに完売、製造スタッフは商品が夕方の買い物客の来店時間に
あわせて焼き上がるよう準備に忙しく、杉窪氏もパイルームから一歩もでること
なく作業に集中していました。
主な食パンアイテムは3種。
・365日×食ぱん (3種の粉をブレンド、バター22%、ドライイースト)
・北海道×食ぱん (十勝前田農産ハルキラリ、北海道産の原材料を使用)
・福岡×食ぱん (福岡産みなみの粉、福岡県産の原材料を使用)
そのほかにハードタイプの食パンを用意します。
ハード系
・コンプレ60 自家製粉岐阜県タマイズミ、北海道産ライ麦10%を使用。
酵母は自家製レーズン種。
・ライ麦40
・バタール (長さ約20㎝)食べきりサイズです。香りが良く味が濃い。
・くるみぱん 等々。
12/18(水)を初休業日として商品の見直し、試作をされるとのことです。
これから徐々に種類も増えて行くそうです。
カンパーニュ系数種にセイグル70…たのしみですね!
アイテムは約30種類
写真左上から時計回りに
オリーブラルドン、ランドネ、ジャンボン、アップルクランブル、カレーぱん。
シュトレン 〜(ドイツ発祥のクリスマス菓子)
あかちゃんのおくるみのようでもあり雪のようでもある
「坑道」「柱」等の意味をもつシュトレンという名の不思議。
生地に練り込まれているもの。
伊予かんピール、レーズン、クランベリー、ピスタチオそしてなんとひよこ豆。
生産者が丹精込めてつくり実ったフルーツや作物に感謝し、来年の豊穣を祈りながら
用意された杉窪オリジナルシュトレン。ヨーロッパではクリスマスを待ちながら毎日
ひと切れずついただき春の目覚めをまつ、クリスト・シュトレン。
販売は12月25日まで。
年末年始はおやすみです。
(左)店長の渡邉紀子さんと(右)副店長の四條真幸美(まさみ)さん
「365日」にはワインソムリエの方(渡邉さん)やチーズソムリエの方
(四條さん)もいらっしゃいます。
365日の名は
1日24時間365日パン職人であり続けたいという杉窪氏、スタッフ全員のおもいが
こめられた店名です。
食 ÷ 食 − 食 × 食
日用の糧であるパン、そのまわりの食材、お料理またそれを美味しく演出する
さまざまなグッズ、書籍にいたるまで食に関わることには限りなくどん欲な
杉窪氏。
ゆくゆくはこの場所で手作り作家の展覧会等も開催したい、と動き出した
「杉窪ムーブメント」
その勢いは少しずつ加速しています。これからの店づくりに注目!楽しみですね。
【休業日のおしらせ】2013.12.31(火)〜2014.1.3(金)
年末年始は商品開発、試作のため休業いたします。
こちらも合わせてご覧ください。
「365日」レセプションパーティのご報告 2013.11.29
http://pansta.jp/shop/13944/fav/
365日
所在地 / 東京都 渋谷区 富ヶ谷1-6-12
定休日 / (2014.8月より)年中無休
営業時間 / 7:00-19:00