パン柄雑貨「BREAD1set」のグッズでもおなじみ
こちらがイラストレーターの笹原由子先生です。雑誌や広告、企業パンフレットなどのイラストを多数手がける笹原先生は、日常を題材にしたイラストが得意で、休日には時間をかけてパンを焼き、また、新しいお料理レシピに挑戦したり。パンの魅力にハマってからは、青山界隈のパン屋さんを自転車で巡りながら、美しいパンたちを素敵に描き、食していらっしゃいます。
このたび2回にわたり、水彩画で描くパンの講座をお願いしました。果たしてリアルなパンの絵に仕上がるのか?参加者の皆様、全員が不安を抱きながらのスタートでしたが完成した絵を全員が「自画自賛」!いえ、先生の手ほどきというか魔法というか、びっくりするくらい実物のようにパン画を描くことができて満足していただけたようでした。
「ブレッドプラントOZ」の大島シェフと記念撮影(3/4 2回目参加者の皆様)
今後も定期的に開催する予定です。描いたパンは食べてしまいますが、絵となって残り、そのパンと向き合った時間の思い出も心に残ります。店内で焼きたてのパンの匂いに癒されながらの落ち着いたレッスンです。お子様の参加もOKです。楽しいですよ!
バゲットOZ
焼きたてパンのいい香りを楽しみながらのパン画作業は、時には集中を欠くことも。バゲットの売れ具合が気になって仕方がない。笹原先生は月に一度OZさんで絵画教室を開催されているそうですが、その度に《日本のバゲット10選》にも選ばれたこの「バゲットOZ」を2本も購入するほど、大のお気に入りだそうです。小麦粉全粒粉、ライ麦、など4種類の粉をブレンドしオートリーズ法でゆっくり時間をかけて粉の風味を引き出しています。パリッとした外側に対してクラムはしっとり。一切れカットして口に運びだしたら、もうひとつ、もうひとつとカットして、瞬く間になくなりそう、胃袋にズンと残らない軽い食感、まっすぐな塩みに、ほんのりとした酸味がそれを追随する、味わい深いバゲットです。
クロワッサン
サクサクなクロワッサンもまた、パリでNO.1クロワッサンとして有名なメゾンカイザーで長年パン職人として研鑽を積み、深く極めた大島剛志シェフが大変思い入れのあるパンのひとつです。
昨今、バター多めの濃厚・芳醇なクロワッサンが話題になっていますが、それに比べるとOZさんのクロワッサンは、発酵バター使用と聞いておりましたが、控えめで後味が軽く、それでいてバターの香味がしっとりと中身にまとい上品な味わいでした。私は、この繊細な層を綺麗に描きたかったけれども実に難しく、最後に笹原先生に魔法をかけていただきようやく完成、さっそくかぶりついていましたら「おいしいでしょう〜」とシェフのお声掛けがあり、おもわず笑顔に。大好きなクロワッサンを描いてよかった!OZさんでもやっぱりこれ!☆人気NO.1。
パン・オ・ショコラもまた然り。美味。
《おすすめ》とまぴぃ
手のひらサイズのパンです。もっちりとしたフォカッチャでプチトマトを包み、粉チーズとオリーブオイルを振りかけグリルのように焼き上げた、可愛らしいサイズのおつまみパンです。プチトマトのジューシーな旨味がパンに絡みます。他にも店内は、「パンフォンデュラク」(湖の底の意)やそれにレーズンを練りこんだ「フォンデュラク・レザン」など、気になるハード系のパンも充実していてワインが欲しくなります。OZさんはどの大学駅(駒沢、都立、学芸大学各駅)からも少し距離がありますが、目の前は「成城石井」という別の意味で好立地、美味しいパンとワインが同時に購入できる、なんともワクワク感広がるエリアにあるんです。
桜も開花、季節ですね!
クロワッサンの生地で桜の葉入りの餡を巻いて桜のリキュールで作ったフォンダンを掛け仕上げた季節のデニッシュです。他にもふわふわ食感のこしあんぱん「桜あんぱん」も並んでいて、春のOZさんはひときわ華やいだ雰囲気に包まれています。
食パン系も充実しています
学生時代はラガーマンだったという大島シェフ。最初は葉山「ボンジュール」、そして「メゾンカイザー」でパン職人として長年会社の発展に貢献し、独立の際にはメゾンカイザー木村周一郎氏の強力な支援を受け、今日があるそうです。かくいう私も、OZさんの存在を知ったのは、とあるパン講座でゲストに招かれていた木村氏からでした。今思い返せば、OZさんがオープンしてから半年ほど経った頃でしょうか。「僕からおすすめのパン屋さん」ということで、かなり思い入れを感じるお話だったと記憶しています。「雨の日サービス」などをはじめ、500円以上パンお買い上げのお客様に飲み物をサービスしたり、「温度計が◯◯度以上なら、また、以下なら◯◯%OFF」など、ユニークな仕掛けが盛りだくさん。午後は、店内に併設されているカフェを解放し様々なジャンルのワークショップを開催、時にはシェフ自らが先生になり「子供パン教室」をするなど、パンを通して皆がお店に集い楽しく過ごす空間づくりの努力を惜しみません。
パンはすべて、ライ麦から種をおこし、乳酸菌由来のルヴァンリキッドとサワー種とルヴァンリキッドを掛け合わせた独自の酵母の2種類の酵母を使用しています。そのためか、胃にもたれない軽やかな味わいが特徴です。店前の駐車スペースには常に自転車が並び、常連さんやベビーカーを引いたお子様連れがひっきりなしに店を訪れます。入り口すぐ脇には、パンを焼く大きなオーブンが目を引き、焼きたてのパンが店内に並べられるまでの様子が手に取るようにわかって、とっても安心感のあるお店です。店名通り、これからも色々な《楽しい》を創出してくださることでしょう。
2016年3月 レポーター 尾見 典子