「青山アンデルセン」とは
「青山アンデルセン」は表参道の街路樹をのぞむ青山通り沿いに建つ北欧風デザインが印象的なお店。都内でもっとも有名なパン屋さんといってもよいだろう。1970年に「アンデルセン」(広島で1948年創業)の東京1号店としてオープンする。
青山周辺の人だけでなく「青山店が好き」と言って永年、遠方からくる人も多いという。店内は、外観と同じく北欧風で統一され、落ち着いた雰囲気の中でゆったりと買い物が出来る。
特に食事パンは種類が多く、シーンに合わせて、メインのお料理に合わせてと、好みのものを選ぶことが出来る。店内はいつもお客様でにぎわうも、厨房から次々にパンが出てくるのでいつでも焼きたてを買うことが出来る。
はじまりは、アンデルセン
今ではあまりに一般的になっているが、自分でパンをトレイに取るシステムを始めたのは「アンデルセン」である。たくさん並んだパンの中からどれが一番美味しそうか、クリームが沢山はいっていそうかなど「自分で選ぶ」という楽しさを提供してくれる。
そして、日本で最初にデニッシュを販売したのも「アンデルセン」。1970年青山店オープンの際に開発されたのがこの「ダークチェリー」で、いまでも変わらない人気の看板商品。デニッシュの上にフルーツを乗せるスタイルはペストリーの本場デンマークにはなく「アンデルセン」が独自に考案したもの。いまでは、どこのパン屋さんでも見かけるようになったデニッシュのこのスタイルはまさに「アンデルセン」から始まったものである。
青山店のデニッシュは格別に美味しいと評判なのでぜひお試しいただきたい。
ミニサイズ(青山店限定)もあるのが嬉しい。
青山店限定の「あんぱん」は和菓子の老舗「とらや」の餡を使用。手土産としても十分なクオリティになっている。
「青山アンデルセン」にはパンを楽しむ食材も豊富
店内中央の大きな冷蔵庫にはサンドイッチ、サラダ、冷製スープなどが種類豊富に並んでいる。季節を感じるものや色鮮やかなものが多く、みているだけで楽しくなるようなラインナップになっている。
人気は「HYGGE 醗酵バター」。とても香りがよく、塩味は軽めなのでたっぷりと塗るのがお勧め
アンデルセンオリジナルブランド「HYGGE(ヒュッゲ)」シリーズは、ヨーグルト、バター、チーズ、ハム、ハンバーグなどパンと合う食材がたくさん揃っている。
2005年から始めた広島「アンデルセンファーム」で作られたブドウを使ったオリジナルワイン。(赤と白の2種類)
パンとハム、チーズ、そしてワインまで揃い、「青山アンデルセン」に来るだけで簡単にパンパーティの用意が出来るようになっている。また、どの商品もパッケージデザインがシンプルでおしゃれなので、テーブルの上にそのまま置けるのも嬉しい。
ドイツパンなども種類が豊富なので、普段あまり食べたことの無いパンに挑戦してみるのも楽しいかもしれない。ドイツパンは日持ちが良いものが多いので、前日にパーティの買い物を済ませたいときなどにも便利。
迷ったらブレッドマスターへ
店内にいる「ブレッドマスター」見つけたら、ぜひお勧めのパンや食べ方等のアドバイスをもらって欲しい。ブレッドマスターとは、パンについての深い知識をもちお客様に最高のアドバイスが出来るよう勉強を積まれたスタッフのこと。シーンや好みにあったものを的確にアドバイスしてくれる。
青山アンデルセンは、地下1階がサンドイッチカフェ、1階がベーカリー、2、3階がレストランになっており、朝から夜まで様々なシーンに合わせてパンを楽しめる空間が用意されている。
「青山アンデルセン」ベーカー長インタビュー
40年以上青山の地で輝き続ける「青山アンデルセン」について、ベーカー長の武田さん、広報室の坪井さんのおふたりからお話を伺いました。
-「青山アンデルセン」は他の「アンデルセン」とはどこか少し違う印象を受けます。その理由について教えていただけますでしょうか?
坪井さん:「青山店は、アンデルセンの定番商品のほか青山オリジナル商品も多いのが特徴です。というのは、青山店は高いクオリティを求めていらっしゃる方や、外国のお客様も多く、場所柄、多種多様なニーズに充分に満足できるよう必然的に他店よりも豊富なラインナップになっています。また旗艦店としての役目もありますのでオリジナルブランドの食材『HYGGE(ヒュッゲ)』シリーズが特に豊富に揃っていることも特徴ですね。」
-青山アンデルセンで一番のお勧めパンを教えていただけますか?
武田ベーカー:「人気商品が多岐に渡るのでこれというのがなかなか難しいのですが、中でも人気もあり、私がお勧めするのは『青山アンデルセントースト』ですね。油脂等を全く使っていないリーンなパンです。油脂を使わないことで小麦の美味しさをストレートに感じられるよう作りました。トーストするとサクリとした軽い食感なので朝食用として特にお勧めしています。」
写真右がシュタインメッツトースト、左がイギリスパン
坪井さん:「シュタインメッツ粉を使った食パンも人気です。」
-シュタインメッツ粉とはどのような粉ですか?
坪井さん:「シュタインメッツ粉とは、ドイツのシュタインメッツ社の製法を使って製粉した小麦粉で、胚芽などに含まれるビタミン、ミネラルなどの栄養はそのままに、苦味成分を除いた美味しくて健康に良い粉です。シュタインメッツトーストは、白い小麦を使ったパンよりも香りや風味も豊かで、朝はトーストに、昼にはサンドイッチ用に、夕食のお料理とも合うオールマイティなパンです。」
武田ベーカー長はアンデルセン一筋32年。「広島アンデルセン」のベーカー長を経て、「青山アンデルセン」のベーカー長に就任
-武田ベーカー長の作るパンの美味しさの秘密を教えてください。
武田ベーカー:「自分自身、パンを作るときに気をつけていることはなるべく生地に触らないということ。そうすると美味しいパンができるんです。人にパン作りを指導するときなども『触りすぎない。』と繰り返し言っています。」
-武田ベーカー長の一番好きなパンを教えてください。
武田ベーカー:「私はドイツに居たことがあり、いまでもドイツパンが好きですね。なかでもミッシュブロートが好きです。柔らかいバターをたっぷりつけて食べます。ドイツではバターを薄く塗ると『ウチはそんなに貧乏じゃない』とお家の人に怒られるんです。」(笑
-「青山アンデルセン」の人気商品を教えてください。
武田ベーカー:「『ハーブソーセージ』(青山店限定)です。これはクロワッサンを作ったときにでる切れ端を再利用して作ったのがきっかけで、販売してみたところ人気が出て今では切れ端では間に合わないんです。(笑)パン生地に負けないよう香りの良い美味しいハーブソーセージを入れたのが人気の理由だと思います。美味しいものを作るとそれを受け入れ、その良さを敏感に理解してくれる方が多いのが青山というエリアの特徴ですね。」
このあと「広島アンデルセン」や全国の「アンデルセン」へと話題が進み、今回はご紹介しきれないほどの魅力を伺い、改めて「アンデルセン」の奥深さを感じました。
余談ですが「広島アンデルセン」で人気の定番商品「陳さんの蒸しパン」というパンがあります。そのパンを考案した陳さんとは、武田ベーカー長は広島アンデルセン時代ずっとロッカーが隣同士だったそうです。「『陳さんの蒸しパン』は大きくてとても美味しいんです。お取寄せも出来ますよ。(アンデルセンネット
http://www.andersen-net.jp)」とベーカー長いち押しパンだそうです。
「次はぜひ『広島アンデルセン』の取材を。」とパンスタからのお願いを伝えて今回の取材を終了。
「青山アンデルセン」のパンをテーブルに並べると、たちまちヒュッゲ
「アンデルセン」の提案するヒュッゲな気持ちを早速味わってみようと、パンスタ編集部のテーブルにパンを並べてみました。
ヒュッゲとは、デンマーク語で「人と人とのふれあいから生まれる、温かな居心地の良い雰囲気」を意味するそうです。デンマーク人の食を楽しみ、暮らしを大切にする姿勢をお手本としている「アンデルセン」からの提案です。
週末の家族とのゆったりとした朝食、お友達を呼んだ気軽なランチパーティ、家族が揃った夕食のとき、美味しいパンがあればそこはヒュッゲ。パンをテーブルに並べてみたらとても簡単なことだと分かりました。きっと家族や友人が揃えば笑顔と笑い声が聞こえてきます
キュートなハートの形でたちまち大人気「デニッシュハート」
今回、「青山アンデルセン」をぐるりと一周し、そしてベーカー長からお話をうかがって感じたことは、パンと食材だけでなく、インテリアや接客などパンをとりまく全てに温かさがあることでした。お客様が時間を忘れてゆっくりとパンを選べるように、おもてなしの心が随所にちりばめられた場所でした。
青山アンデルセン
所在地 / 東京都 港区 南青山5丁目1-26
定休日 / 不定休
営業時間 / 1Fベーカリー 7:30~21:00 2・3F
レストラン 8:00 (土日祝8:30) ~20:00 (LO19:30)