2014年12月、東銀座にオープンしたブーランジェリーレカンは、銀座レカングループが発信するパン専門の新ブランドです。では、いったいどんなパン屋さんなのでしょう?
取材日 2014年12月 レポーター 尾見 典子
2011年よりレカンの専属ブーランジェを務める割田健一シェフ
実は、今までも「レカンのパン」はありました。それはレストランで食事の付け合わせとして供される時のみいただける特別感のあるものでした。正統派フランス料理の名店として歴史を感じる 銀座レカン、リニューアルオープンを果たした華やかなフレンチスタイルレストラン ロテスリーレカン。
割田シェフはそこに「新しい何か」を加える事で店舗を訪れる人々が思わず笑顔になるようなワクワク感いっぱいの空間をつくりだしました。オープンから2週間余り、クランブル状にしたブリオッシュの生地をマフィン型で焼いたベーカーズマフィン、アメリカンクラシックなコーンブレッド・コーンスティックなど、遊び心のある自由な発想で早くも銀座を行き交う人々の心をつかみ始めています。
レカンのパン以外にも様々な要望に応える広い厨房
天井には驚いた。一見すると普通の天井なのだが「ヴィンボック式」という照明と一体化したダクトシステムで、天井全体で室内の空気を管理する。厨房作業による蒸気や油脂を含む空気は自然に上昇し排気口に吸い込まれる。温度・湿度も最適な状態に保たれるうえ、粉アレルギーのリスクも軽減する。割田シェフも「メンテナンスの手間も余りかからないんですよ」と笑顔で説明してくれた。近隣のレストランや丸の内エリアのカフェ、パーティ用のケータリングと注文は個々に対応している。つい先日も開催日の2日前にパーティ向けにと予約があったが快く承り、喜んでいただいたそうだ。
ショップラインナップ
とあるイベントでイメージを膨らませ帽子型を意識したというマフィン
外から眺める事も出来るクリアーガラスの冷蔵ケース内には、エシレバターやコンフィチュール、銀座レカンオリジンルのブレッドパテ、バインミーを思わせるチャバタサンドイッチが。また、銀座のはちみつを使用したロールケーキもあります。左手にはパンショップカウンター、対面式での販売です。定番のクロワッサンや食パン、1930年代アメリカの古いレシピ本を参考にしたおやつパン、惣菜パン、後方壁際にはこだわりのバゲットやカンパーニュといったシンプルに魅せるパンが並べられ、ショーケースにはマカロンなどのパティスリー、奥にはフィナンシェやラスクといった焼き菓子、アイテムは多岐にわたります。それでは気になるパンリストをご紹介します。
パンリスト(常時15種類前後の販売となります)
クロワッサン ヴァニーユ ¥270 は割田シェフの自信作 『食べてみてくださいよ。うまいです!』
焼き上がり時間はお店に問い合わせください。
◆クロワッサン
粉とバターの風味を高くし、サクサクでリッチな味わいのクロワッサン
◆クロワッサン ヴァニーユ
バニラの優しい香りが広がるクロワッサン
◆パン オ ショコラ
粉とバターの風味が高い、チョコレート入りのパン
◆ベーカーズマフィン(3種)
チョコ&ピスタチオ
ブリオッシュ生地にチョコチップとピスタチオを練り込んだマフィン
ベーコン&ペッパー
全粒粉の生地にベーコンとブラックペッパーを練り込んだマフィン
小倉あん&クリームチーズ
全粒粉の生地に小倉あんとクリームチーズを包み焼いたマフィン
キャラメル&バナナ
ブリオッシュ生地にキャラメルチョコレートとバナナを練り込んだマフィン
銀座の新しいお土産として、お子様にも!
◆ギモーヴドーナツ
チョコレート&カカオニブ
チョコレート味のマシュマロにカカオニブをトッピングしたドーナツ
シトロン&ピスタチオ
シトロン味のマシュマロにピスタチオをトッピングしたドーナツ
ストロベリー&ラズベリー
ストロベリー味のマシュマロにラズベリーをトッピングしたドーナツ
◆スチームドーナツ
チョコレートドーナツ
チョコレート味の焼きドーナツ
サンドイッチの決め手はパクチーにあり
◆シトロンチャバタのサンドイッチ
ベーコン、人参のラペ、パクチーをシトロンチャバタでサンドした調理パン
◆ズッキーニのクロックムッシュ
カンパーニュのクロックムッシュ。ズッキーニを乗せて焼き上げたパン
◆マッシュルームのクロックムッシュ
カンパーニュのクロックムッシュ。マッシュルームを乗せて焼き上げたパン
◆ボストック
バゲットをオレンジシロップで芯まで染み通らせて、アーモンドクリームを塗り、焼いたお菓子感覚のパン
◆カンパーニュのラスク
カンパーニュをキャラメリゼした香ばしいラスク
お料理に添えて シーンを彩るワインとともに
国産小麦の食パン ¥600ととうもろこしのカンパーニュ 1個¥750 1/2個¥375
◆国産小麦の食パン(パン ド ミ)
レカン専用粉として北海道産小麦数種をブレンドし製粉してもらっている。
小麦の甘みともっちり感が楽しめるスタンダードな角食パン
◆全粒粉の食パン(パン ド ミ ファリーヌ コンプレ)
国産の全粒粉を使用した山型食パン。トーストするとよりいっそう香ばしさが楽しめる
◆パン ド カンパーニュ
フランス産の灰分含量の多い有機小麦粉、ライ麦粉、全粒粉をブレンドしたカンパーニュ。
◆ハルユタカのカンパーニュ
北海道産のハルユタカ単一品種のカンパーニュ。①小麦粉②全粒粉③小麦の粒、と3種の異なる状態をブレンド。もっちりとした食感が特徴
◆パン ド カンパーニュHOKKAIDO
北海道をイメージしたフリーズドライのとうもろこしを使用したカンパーニュ
◆ブール ド カンパーニュ
国産小麦を使用した酸味の強いカンパーニュ
◆ブール ド カンパーニュ カカオニブ&クルミ
国産小麦を使用した酸味が強いカンパーニュにカカオニブとクルミを一緒に練り込んだパン
赤ワインのカンパーニュ (栗) (クランベリー) 各¥350
◆赤ワインのカンパーニュ
山梨の農園の赤ワイン(メルローまたはカベルネソーヴィニヨン)を作るときに出る皮の部分をピューレ状にしたものと、クルミ、イチジクを一緒に練りこんだカンパーニュです。ポリフェノール等を多く含んだ健康で栄養的、赤ワインでつくるカンパーニュ
◆赤ワインのカンパーニュと栗
赤ワインでつくるカンパーニュに栗、イチジク、クルミを練り込んだパン
◆赤ワインのカンパーニュとクランベリー
赤ワインでつくるカンパーニュにクランベリーを練り込んだパン
◆シトロンチャバタ
シトロン、シトロンオリーブ入りのチャバタ
◆オリーブのチャバタ
オリーブ入りのチャバタ
◆ポテトバンズ ミモレット&クミン
マッシュポテトの生地にミモレットとクミンを乗せ焼き上げたパン
◆コーンブレッド
コーンをたっぷり使ったパン
◆コーンスティック
クラシックなスティック状のコーンたっぷりなパン
◆バゲット トラディショネル
フランス産小麦粉をブレンドしたバゲット。ブルターニュ地方の塩を使用し香り高く仕上げた銀座レカン定番のバゲット
(平日は20本ずつ2回 休日は40本ずつ2回の焼き上げ)
◆バゲット コティディエン
国産小麦粉を使用し、味わい深く仕上げた食べやすいバゲット
(平日は20本ずつ4回 休日は40本ずつ4回の焼き上げ)
◆シナモンロール
伝統的なフィンランドのシナモンロール
銀座5丁目の焼き立てパン
日比谷、有楽町、銀座界隈は老舗を含めパン屋さんの数が多い。百貨店食品売り場では誰もが知る有名店が軒を連ね、シェフ自身の名前を掲げて展開している店も目立つ。今回銀座5丁目での出店にあたっては、構想段階でさぞや苦労されたことだろう。現実的に全く新しいパンを開発するのは難しいし消費者の眼識も高まっている。業界的にはアイディアも出尽くしてしまっているに近い。「レカン」のイメージもある。
割田シェフにそのあたりの難しさについて尋ねた。「やりたいことはいっぱいある。最初パンリストを作る時、苦労はした。ただ、もっと苦労するかと思っていたが社内で色々と話し合いを進めて書き出してみたら案外直ぐにラインナップを揃える事が出来た。以前からつくりたかった《ドーナツ》いれましょう!と提案した。うちもそうですけれど子供ってドーナツ好きですよ。子連れのお客様にも是非立ち寄ってもらい、家族へのお土産として持ち帰って欲しい。当店のドーナツは常温でも持ち運びが出来るマシュマロをコーティングしている。おすすめです。あとこれから少し砂糖で遊んでみようかなと思っている、きび砂糖とか。パン生地自体にフレーバーを練り込み色をつけてバリエーションを広げるより、ちょっとした素材の組み合わせにトライしていきたい。例えば今販売している「クロワッサン ヴァニーユ」がそう。バニラビーンズの入ったクロワッサンってありそうでないでしょう。それからコーンスティック、今販売しているのはプレーンだけですが、そこに唐辛子や何かアクセントになるものを入れて販売したいと思っている」
形になって現れる日が待ち遠しい。
レカンのパンの美味しさを知るレストランの常連さん、ロテスリーレカンの再開を心待ちにしていた近隣の方々、それから全国のパン好きの人たち。様々な立場で訪れるお客様、そのひとりひとりに目を向け要望を聞く。そのため割田シェフは日に何度も地下の厨房とお店を行き来する。お話を伺っている間も、どれにしようか悩んでいるお客様にお声掛けしてパン選びのお手伝いをし、スライスの要望を受ける。また、帰られるお客様の先に立ってドアを開け、お見送りをする。接客の仕事として当然といえばそれまでですが、パン職人でありながら実に自然な振る舞いで細やかな気配りをされる方だと感心してしまいました。地元に根ざすパン屋でありたい、自分はいつもお客様の近くに居てパンを作りたい。そう語る割田シェフの温かな想いが洗練された店内にも投影されている。銀座の一等地にありながら顔の見えるパン屋さん、ここには作り手である割田シェフ自身がいる。
パリの街角をおもわせる小粋なブーランジェリーショップです。
(※商品価格は2015年1月現在 本体価格での表示です)
ブーランジェリーレカン
所在地 / 東京都 中央区 銀座5-11-1
定休日 / 定休日無し
年末年始休業
(2014年は12/31〜1/4)
営業時間 / 10:30~21:00