鶴岡市をパンで盛り上げる!
トツゼン帰り道が楽しくなるパン屋さん〜TOTSZEN BAKER’S KITCHEN(横浜市大倉山)のオーナーでもあるジャパンベーカリーマーケティング(株)の代表 岸本拓也氏は、山形県鶴岡市にイタリアンの巨匠奥田政行氏のパン屋さん「地ぱんgood ~TOTSZEN terroir~」をプロデュースした。
「日本を食で元気にしたい」
都内で行われたPRESS発表会は、ベーカリーに並ぶ予定の商品の紹介とともに、奥田氏の嗅覚と岸本氏のフィールドワークを活かした熱い友情による地域活性化プロジェクトの未来にまで話が及び、尽きぬお二人の対談に心踊るひとときであった。
取材日 2015年4月 レポーター 尾見 典子
地元の素材とパンとの融合!
地ぱんgood(ジパング)〜TOTSZEN terroir〜
土地のものを使ったパン×ジャパン、地のものとパンの組み合わせ、それがgood(良い)。そしてパンから突然(トツゼン)大地(テロワール)の話が広がるという意味と、トツゼンベーカーズキッチン(大倉山)のオーナーでもある岸本氏が手がけることに由来。店舗のロゴデザインは、奥田氏自ら考案したものである。
奥田政行シェフ×岸本拓也氏
元々奥田シェフの作る料理の大ファンであった岸本氏は、奥田氏の若かりし頃胸の奥深くにしまい込んでいた「パン屋開業」への夢に火を付けた。両氏は、昨秋郡山にて行われたB-1グランプリの際、会場の近くにある奥田氏プロデュースのレストラン「福ケッチァーノ」の店頭でチャパタを使ったコラボ商品「福島牛タンバーガー」を販売、1500個を売り切り「福ケッチャーノ」を盛り上げた。そして今春、パンで地元を盛り上げたいという共通理念を持った二人は山形県を、ひいては日本中を盛り立てようと動き始めた。
0歳から100歳まで愛されるパンを!
注目は庄内をはじめ山形の食材を使用したグルメコッペ(5種)
日本人なら誰もが親しんでいるコッペパンに奥田シェフの絶品イタリアンを合わせるという岸本氏のアイデアにより実現、お店のメインアイテムだ。その中でも「焼きパスタホウレンソーネ(根)」が面白い。パスタを茹でてから焼く、そうすることで麺の外側が香ばしく中は蒸されてもっちり、シェフ曰く「逆アルデンテ」のナポリタンになるらしい。甘みがあり栄養価の高いほうれん草の根の部分を敢えてトッピングするのが奥田流。山形県産米粉(はえぬき)をブレンドしている。
パーネプリエーゼ
セモリナ粉85%にはえぬき米粉15%を配合。プリエーゼとは、南イタリア“プーリア地方の”(ブーツの形に例えると丁度かかとの部分)を意味する。パーネプリエーゼはプーリア州では馴染み深いパンで、見た目は田舎パン、どんなお料理にも合う。地ぱんgoodで焼くパーネプリエーゼは(大)(小)があり、それぞれ趣が異なる。(大)に入れるクープは庄内藩の家紋であるカタバミを現し、黄金色に焼かれた(小)サイズの美しいクープは小判をイメージしているそうだ。なお、小サイズの方はレストラン「アルケッチァーノ」においても提供される予定だ。
チャパタ
山形県天童市産ナンブコムギを使用。奥田氏の要望に応えるべく試作を重ね、ブーランジェ大岡さんの手によって生み出された吸水100%を超える、クラムのきらきら透き通るイタリアパン。かなりもっちりした食感である。成形が難しく苦労も多かったようだ。厚さ5㎜あるかないかの生地を窯に入れた時の膨らみ方にはびっくりしたという。そのまま召し上がる場合は、全体を1/3位の厚切りでいただくのがおすすめ。
地ぱんgoodブーランジェ大岡氏 パンと料理の可能性を追求しながらのパン作り
バゲット 月の雫
山形県天童市産ナンブコムギ100%使用。満月の日に汲み上げた海水を原料としたミネラルのたっぷり入った塩を用い高加水、低温長時間熟成のバゲット。しっとりもっちりな食感。1cm位に薄くスライスしてお料理に添えたり、2〜2.5cmの厚さにカットして軽くトーストしていただくのもおすすめ。
このほかにも四季折々の果物を使ったデニッシュや定番の食パン、あんぱん、具材たっぷりのピザ、牛タンキーマカレーパンなどバライティーに富む。地元の方々にたくさん土地の産物を食べていっぱい楽しんでもらいたい、そんな思いがお店に凝縮されている。パン生地に庄内産を使用していなくてもお料理で土地のものを必ず取り入れているという徹底ぶりだ。
鶴岡市の方々はもとより、山形県民に親しまれている山「月山」をモチーフにしたクロワッサン オ ザマンド。外側をカリッと焼き上げ中身はしっとり、甘いもの好きの方にオススメの自信作。
映画と一緒に楽しんで!
イタリア料理×パン、奥田シェフのアイデアは尽きない。「日本人の口に合わせてイタリアの形で美味しいものを作り、皆を元気にする面白いベーカリーを作っていきたい」(奥田氏)「シンプルで素朴な味わいのシェフの料理に感動をもらっている、皆が集まるこの場所でお客様のお声を聞きながら、日常食であるパンの底を広げ地域を盛り上げていきたい」(岸本氏)
鶴岡という素晴らしいロケーションに佇む歴史ある建物で、パンとお料理が融合した。映画と一緒にパンを楽しむ。パンが新たな文化の発信となることで、未来に向けきっと何かに繋がるに違いない。
2015年4月25日(土)オープン
《鶴岡まちなかキネマ》 通称まちキネ
山形県鶴岡市は古くから織物の町として有名だが、「おしん」や「蝉しぐれ」「おくりびと」のロケ地になったことで映画の街としても広く知られている。「鶴岡まちなかキネマ」は織物工場として使用していた建物を再生して映画館の誘致を切望する市民の要望に応え開業、まもなく5年を迎える。映画館の企画運営には市民も積極的に参加、コンサートや講演・シンポジウム・落語や朗読会など多岐にわたり地域のコミュニティの中核として欠かせない場所となっている。
*記事中一部の画像はジャパン ベーカリー マーケティング(株)様より提供いただいたものを使用しております。