こじんまりした店内の両サイドに所狭しとパンが並ぶ。「ぱんや照光」は烏山北住宅の片隅にある3坪ほどの小さなちいさなパン屋だ。朝7時オープン。店内に入り左奥に見える厨房のようすを伺う。とそこには白、だいだい、緑色の小さく丸められたパン生地を丁寧に並べている店主高橋洋さんの姿。ああ、あの丸いのがいろんな形になって膨らんで命の宿ったパンになっていくのだな。店主のお母様の故郷である高知の食材やその日仕入れた素材でひらめくものを形にするので、行く度に新作・仲間入りパンに出会う。思わず寄り道せずにはいられないアットホームで気さくな夫婦が営むベーカリー。
取材日 2019年12月 レポーター 尾見典子
この場所では代々ベーカリーが営まれ高橋洋さんで三代目。厨房のオーブンに至ってはトータルで25年も使用している。
縁あって譲り受けた居抜き店舗ではあるが、可愛らしい内装は高橋さんのD.I.Y.なのだそう。前オーナーが愛用していたマグネット式のタイマーまで大切に扱う高橋さんのお人柄は愛情深く人を楽しませるのが大好きで、常に相手を慮る鋭い感性の持ち主だ。今年7月には早くも一周年を迎え、幼稚園や小学校帰りの親子連れをはじめとした常連さんで賑わう人気店となっている。店先には爽やかなブルーのテーブルと椅子が併設され、こちらで購入したパンをその場で楽しむことができる。
ぱんや照光のパンはみんな仲良し!
12月1日より「参上」!新参者ですが早くも人気急上昇
今月の新作「カッパーガー」は抹茶&マカダミア生地に牛肉100%の手作りハンバーグ、クリームチーズ、レタス、マヨネーズを挟み上にパインをのせてチーズと黒胡麻で目をつけた愛嬌たっぷりのキャラクターバーガーだがこちらはおそらくかの『世田谷パン祭り』で見事《グッドルッキングコンセプト賞》を受賞した「かっぱいん」の進化系、惣菜バージョン。かっぱいんも元を辿れば「マチャダミアンパン」(似たような生地で粒あんと白玉入り)かもしれないし、マチャダミアンパンは白玉のパッチリお目目が愛らしい「ギャオス」や「ギャメス」から派生したように思える。高橋さんのアイデアの引き出しは限りなく、斬新でしかも全て裏切らない美味しさ。パンのネーミングも然り。
「パンの名前を見てお店で親子の会話も弾むでしょ!」そう語る店主の高橋さん。本当に人を楽しませようとする気持ちに溢れ、お客様の反応を楽しみに想像しながら日々パン作りに励んでいる。
本格派のパンもハード系もオススメ!
高橋さんは長年大手リテイルベーカリーで研鑚を積んだ後、数カ所の人気店で経験を生かし活躍された本格派のパン職人である。王道のバゲットやハード系のセンスも抜群だ。しかしながら近隣のニーズを汲み取り、誰でも受け入れやすい惣菜パンや菓子パンを中心に並べている。その中でもオススメしたいのが生地にキャベツが入ったパンだ。フランスパンの生地にキャベツとベーコンをたっぷり練り込んだシューバコン、ガーリックソーセージをキャベツ入りのもっちりとしたパンで包んだシューフランクは、口に入れた途端葉野菜の濃い香りが広がり格別の味わい深さ、キャベツってこんなにも滋味深いものなのかと新しい発見もありこちらはぜひ食べていただきたい逸品だ。
その日に使用している食材の一覧表にも注目したい。
シュトーレン
そんな楽しいぱんや照光さんも11月よりシュトーレンを好評発売中!その名も「照光シュトーレン」。白ワインで漬け込んだイチジクと伊予柑、洋酒に漬けたレーズン、くるみ、アーモンドを練り込み黒ケシの実のペーストを巻き込んで仕上げに粉糖でコーティング。まるで淡雪が降り積もったような純白の素敵なシュトーレン。照光さんのシュトーレンを少しづつ切り分け食べながら今年は特別なアドベントの時期を送ってみませんか?
『おはようございます、ぱんや照光です』『朝早くからご来店いただきまして有難うございます』『本日もたくさんのパンをご用意してお待ちしております』『ぜひいかがでしょうか』...ぱんや照光がどんな雰囲気のお店なのかを知るにはお店のInstagramを閲覧すれば一目瞭然である。高橋さんの作るパンを奥様が毎日丁寧に紹介している。とびっきりユーモアあふれるネーミング、面白い素材の組み合わせのパンを柔らかく優しい文章で淡々と綴っている。写真のインパクトと控えめな文章の対比が絶妙だ。『まきまきコールスローでこんにちは!』時々こんなクスッと笑える文章も。きっと店主が言った通りに書いているんだな、と想像できる。奥様の見事なサポート、素敵なご夫婦である。
ぱんや照光
所在地 / 東京都 世田谷区 北烏山1-61-6 サンメイト烏山1-B
定休日 / 現在は水曜日、木曜日ですが2020年1月より月曜日、火曜日が定休日になります
営業時間 / 7:00〜18:00