Torch.bakery《トーチドットベーカリー》（東京都大田区）　おいしいパンとパン屋さんのくちこみ・ランキング パンスタ

2015年1月にオープンしたトーチドットベーカリーは、JR京浜東北線の線路沿いにあるとってもお洒落なベーカリーカフェです。こんなところにパン屋さんが？その存在を知った誰もがそう思った事でしょう。歓楽街が集中するJR蒲田駅西口駅前を線路にそって南下し歩くこと約10分、途中、環状八号線のガード下をくぐると、その表情はうって変わります。時折り通り過ぎる電車の音以外は行き交う人の数もまばらです。静寂な落ち着いた街並みがつづくこの場所は、もともと和食屋さんだったそう。トーチドットベーカリーは、「パン屋が替わる。生活が替わる。」をモットーに、日本独自に発展したパン文化を共有し、バラエティ豊かな品揃えでパンの美味しさ・愉しみ方を提案する新来のベーカリーです。

　　　　　　　　取材日：2015年9月　　　　レポーター　尾見　典子

まず特徴的なのは「ベンチゾーン」の存在。「カフェゾーン」の他に飲み物持ち込みOKのエリアを用意している事です。そこは、購入したパンをすぐに食べたいというお客様が利用できるスペースで、ちょっと腰掛けられるベンチがあります。ベンチは曲線にデザインされているので、友人同士や親子連れでも向き合ってパンを食べる事ができます。また、パン購入者に限り10円でいただける「ベンチコーヒー」も備えてあるので、焼き立てパンに出会った時など、遠慮なくその場で楽しめるというありがたいサービスです。散歩の途中、美味しそうな匂いに誘われて、パンを買い木陰でちょっとひとやすみ。とても開放的な空間です。

前職はホテル関連の仕事に従事し、運営に関わる全般的な業務を経験されたというオーナーの川端慎之介さんは、接客及び事務など経営に関わる部分を担当しています。学生時代からの友人である松本喜樹さんとタッグを組んで、ホテル仕様の新しいスタイルのパン屋さんを作ろうと、共に慣れ親しむ蒲田の地にお店をオープンさせました。偶然にも、ほど近い場所に製パン製菓用オーブンを扱う会社があるという好立地です。パンの専門家でもある川端さんは、美味しい食べ方や保存方法、この料理に合わせるならこのパンなど、パンに関するあらゆる相談を承っています。男性のコンシェルジュというのは大変貴重な存在です。男の人の好みそうなパンは？など、男性目線ならではの良いアドバイスをいただけそうです。トーチドットベーカリーでは、川端さんのみならず、スタッフの誰もがパンコンシェルジュとして積極的にお客様と関わり、耳を傾け、商品の改良に努めています。例えば、パン・オ・ショコラのチョコが少ないという声を聞き、すぐさまバトンチョコを2本から3本に増やしました。それから、チョココロネのクリームは、既に3回も味を変えているそうです。

オープンの朝8時〜10時までの「モーニングサービス・パンビュッフェ」は面白い試みです。前日焼成のパン＋好きなドリンクで¥500 、同時最大15名限定です。パンがなくなり次第終了です。また、ランチのオススメは「パン＋きまぐれサラダ」のCセット（ドリンク付）です。気になるハード系のパンばかりが少量ずつ5〜6種類も入っているので、パン好きにはたまらない魅力的なパンバスケットです。自家製のドレッシングがかかったサラダ付き、クリームチーズやオリーブオイルも添えられているのでお好みで楽しみましょう。どれも具材たっぷりのハードパンですので、そのままでも！テイクアウトするパンを絞り込むのに悩む時間も楽しいひととき。美味しいパンで、きっと会話も弾みます。もちろん、ひとりでじっくり吟味するのもまた至福の時。

それでは、ベーカリーゾーンで販売している主な商品のラインナップをご紹介します。

温かな灯火で「街を照らす」ベーカリー、店名「Torch」を冠して名付けられた松本オーナーシェフいちおしのハードパンです。国産小麦にライ麦と石臼挽き粉を少量ブレンド、蒲田周辺はお年を召した方々も多く、また、ベビーカーを引いて来店されるお子様連れのお客様も多く見られますので、バゲットをはじめとするハード系に馴染みがなかったり食べ慣れない方にも食べやすいよう、クラストを薄めにして中身をもっちりとした食感になるよう工夫しました。トーチにオリーブを練り込んだ「トーチ・オリーブ」、ショコラを練り込んだ「トーチ・ショコラ」もあり、早くも人気を得ています。

「トーチ」の和名「松明」（たいまつ）の名を冠した食パンです。湯種製法でじっくりとつくられ、もっちりとした食感です。角型・山型・三穀（ライ麦、はと麦、玄米）の三種類を用意、白神こだま酵母を使用しているため、小麦本来の甘さが引き出されています。アレルギーをお持ちのお客様でも安心して選んでいただけるよう、バターの代わりに太白胡麻油を使用するなど、卵・乳製品不使用の食パンを販売しています。松明生地にチーズとブラックペッパーを練り込んだ「ポワブルチーズ」、レーズンをたっぷりと練り込んだ「レーズン食パン」も人気です。

リュスティック（クランベリーショコラ）をおすすめするのは販売スタッフの福島佳子さん。柔らかめのフランスパン生地にチョコチップとクランベリーを練り込み、見た目よりもふっくら、そしてもっちりな食感です。チョコの甘みとクランベリーの酸味が絶妙なバランスで、間違いない美味しさだそうです。福島さんは、販売だけでなくお菓子作りをも得意とし、1日に1〜3種類のシフォンケーキをつくり、好評を得ています。最近では、お客様からのリクエストを受け、テイクアウトの対応も始めたそうです。
☆日替わりシフォンケーキ
・イートイン　¥500 　・ケーキセット　¥700　・テイクアウト　¥350
月　プレーン
火　ランダム
（水　定休日）
木　バナナ　（乳不使用）
金　ベリー
土　プレーン（乳不使用）
日　レモン　（乳不使用）

＊ホール販売もしています。購入の3営業日前までにご予約を！（¥3,000）
　季節のフレーバーも多数、ご相談を！
　

厨房担当の松本喜樹さんは、現在60〜70種類ほどあるお店の商品づくりをほぼ一人でこなしています。3種類の食パンやハード系など日常の食事パン、惣菜パン、菓子パン、中でもハード系のパンは全体の3割ほどを占め、今後更に力を入れて販売していきたいと考えているそうです。パン生地は北海道産を中心とした国産小麦を使用し、沖縄産の塩（青い海）、花見糖など極力口に入れても安心・安全な食材を選んでいます。また、生地に練り込んだり包んだりする具材もたっぷりで、見た目にも食欲をそそるパンをバラエティ豊かに揃えています。食物アレルギーを気にするお客様は思った以上に多いことを考慮し、卵、乳製品不使用の食パンと同じ生地でつくった商品を多く揃えるようにしています。クロワッサンやデニッシュは今のところ外麦を使用していますが、ゆくゆくは国産小麦に変えていきたいとも考えています。

ハロウィンが過ぎると、いよいよパン屋さんが最も活気づくXmasのホリデーシーズンがやってきます。松本さんからは「今、いろいろある中からどんなものを並べようか思案中です、シュトーレンは作りますよ！」と力強いお答えをいただきました。ベーカリーならではのクリスマスパンや伝統菓子がどのように彩られれるのか、ラインナップが気になります、楽しみですね。

8月下旬の台風襲来以来、めっきりと涼しくなり秋らしい陽気になりました。秋は、朝晩、日中どの時間もほんとうに過ごしやすい季節ですね。「Torch.bakery」からほど近い「タイヤ公園」へ、また、サイクリングで多摩川へ、ぶらりお散歩を楽しんでみてはいかがですか。

＊　文中の商品価格は税抜き価格で2015年9月現在のものです。