暖かな日差しに桜もほころぶ3月中旬、西新宿モアザンベーカリー・バンケットルームにて楽しいイベントが開催されました。
2024年3月19日 パンライター 尾見典子
テーマの主役は南イタリア菓子。イタリアンドルチェといえば各地に数えきれないほどの種類があるようですが、この日は「ババ」と「カンノーリ」にフォーカスを当てデモンストレーションと食べ比べ。新たな発見もあり美味しく学びの多い内容でした。
デモンストレーションイタリア菓子/スプマンテのご紹介
そのほか「カントゥッチ」「ビスコッティ アッラ アマレーナ」は持ち帰りができるよう包装された状態で各自のテーブルに置かれていました。
モアザンベーカリー/ベーカリープロデューサーの神林さんは、飲食店で活躍する有名シェフの世界はまだまだ男性が主役の社会でありながらも、現場で働く若い女性パン職人が近年増加していることを肌で感じていました。そこで、そんな女性たちにとって目標となるような方々をお迎えして、刺激となるような何か良い企画は無いかと考えていたところ、2人のイタリア菓子職人〝パスティッチェーレ〟に注目したのでした。
◆お2人のプロフィール◆(いただいた資料より)
塩月紗織【Litus】
ミクニ丸の内店、イタリアンレストラン・パティシエを経て渡伊、シチリア島その後北イタリアロンバルディア州「Grand Hotel Fasano」にて菓子部門の責任者を、トレンティーノ州StHubertusではスーシェフを務め上げ2017年、2018年のGamberoRossoにて最優秀パティシエに選出される。2021年東京・新富町に自身のイタリア郷土菓子専門店「Litus」をオープン。
赤松恭子【Pino Salice】
シンガポール育ち。調理専門学校を卒業後、国内数店舗にて様々な料理や菓子作りを経験。その傍らフランス菓子重鎮の弓田亨氏(2023年ご逝去)に師事し製菓製パンの基礎を学ぶ。2004年、シチリアの名店Doumoでスーシェフとして星を勝ち取った柳令子と共に南イタリア料理店「Pino Salice」(渋谷)をオープン。因みに店名のPinoは赤松さんの〔松〕を、Saliceはシェフ柳さんの〔柳〕のイタリア語から。
モアザンベーカリーのパン3種(バゲット、カンパーニュ、ロデヴ)、モルタデッラ、パルミジャーノチーズ
パンの食べ比べは多く経験していますが、イタリア菓子の食べ比べは初めてです。会場を提供したモアザンベーカリーさんからは、乾杯のスパークリングからドルチェの箸休めにとモルタデッラ、パルミジャーノチーズ、パン3種、そして食後のコーヒーまで出してくださり、会場の雰囲気を盛り上げました。
リートゥスのカンノーリ ひまわり油で170度〜180度 きつね色
リートゥスではケーキ屋さんのようにドルチェを店頭に並べ販売しているスタイル、ピノサリーチェは南イタリア料理店ですので、お料理をいただいた後のドルチェとしての提供が主です。従って必然的に生地の配合や組み立ては変わってくるわけですが、デモンストレーションを通してその違いを説明しながらテンポよく菓子を仕上げていきます。
いただいたカンノーリやババはそれぞれに特徴が表れ、お二人の目指す食感、味わいを確認しながらの時間をテーブルごとのメンパーと共有しました。
おやつとして持ち帰りメインのリートゥスのイタリア菓子は、サクッとした歯応えやボリュームを大切にし、料理の最後にドルチェとして提供しているピノサリーチェのお菓子は、軽く後味さっぱりと。ドルチェの余韻でまた来訪したいと感じさせるような仕上がりになっていました。
リートゥス(手前)とピノサリーチェ(奥)のカンノーリ
またこの日はサプライズで、持ち帰りの焼き立てバゲットも用意してくださいました。というのは、モアザンベーカリーのスタッフ滝澤和花さん(21歳)が「第7回 技能五輪国際大会 日本代表選考会」で第一位に輝き、この秋フランスのリヨンで行われる「技能五輪国際大会(ワールドスキルス)」に日本代表選手として出場することになったのだそうです。
トレーニング中のバゲットをお裾分けしてもらいました
この大会は1950年から2年に一度のペースで行われており23歳以下という年齢制限があるので、出場できる期間は短くほんの僅かなチャンスです。今回は26カ国が参加するそう。大会まであと半年足らず。トレーニングを重ね、万全のコンディションで活躍されることを心からお祈りし応援させていただきたいと思います。
2階からの眺めは春の装い。モアザンベーカリーのあるザ・ノット東京のロビー
MORETHAN BAKERY
所在地 / 東京都 新宿区 東京都新宿区西新宿4-31-1 HOTEL THE KNOT TOKYO Shinjuku 1F
定休日 / -
営業時間 / -